犬で義眼が必要なのはどんなとき?|目を温存する選択肢は?
動物病院では犬にさまざまな手術が行われています。
その中でも目に対して手術が行われることは非常に多く、人間と同じように義眼手術が行われることもあります。
義眼手術と聞くと
「かわいそう」
「他に方法はないの?」
「義眼手術のメリットデメリットを知りたい」
と思われる犬の飼い主様は非常に多いです。
そんな飼い主様のために今回は、犬の義眼手術について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬に義眼手術が必要になった際の判断材料にしていただけると幸いです。
犬の義眼手術とは?
犬の義眼手術とは、失明した眼球の代わりに人工の眼球を入れる手術のことです。
強膜内シリコンインプラント挿入術(ISP)とも呼ばれます。
義眼手術では、眼球の一番外側にある膜の強膜から眼球内部を摘出し、本来眼球の位置に義眼(シリコンボール)を入れます。
義眼には視覚を回復させる機能はありません。
そのため義眼手術は、
「視覚は回復できないけど、外見を維持しながら失明した眼球を摘出することができる」
という立ち位置の手術となります。

義眼手術を行う意味
「失明した目の視覚が回復しないなら、義眼手術をする意味はないのでは?」
そう思われる飼い主様も非常に多いです。
しかし、義眼手術を行うのには大きな意味があります。
ここからは犬で義眼手術を行うことの多い病気である緑内障を通して、義眼手術を行う意味について解説します。
緑内障
緑内障とは、目の中の圧力が異常に高くなり、視神経が圧迫されることによっていずれ失明する病気です。
緑内障の特徴として、強い痛みを伴うということが挙げられます。
緑内障を発症すると痛みによって目が開けられないことも多いですね。
緑内障を治すためには、発症してすぐに治療することが必要です。
しかし残念ながら緑内障は
- 飼い主様が気づくころには進行していることが多い
- 専門治療が必要なため、どこでも治療できるわけではない
- 他の病気に続発し、緑内障治療だけでは完治しないことも多い
という特徴から、発症後失明してしまうことがほとんどです。
緑内障で失明後の眼球は、視覚がないのに痛みがあるという状況が続きます。
痛みを和らげるためには飼い主様による目薬の投与が必要になります。
しかも完全に痛みが引くことはなく、目薬の投与も一生やめられません。
そんなときに緑内障になった眼球を摘出することが必要になります。
眼球摘出ではなく義眼手術をするメリット
義眼手術の最大のメリットは外見の変化を最小限に眼球を摘出することが可能な点です。
緑内障で手術が必要になるときは、古くから眼球摘出が行われていました。
しかし眼球摘出を行うと、外見に大きな変化が出てしまうことは容易に想像つきますよね。
中にはそのショッキングな外見の変化から、愛犬との日常の関わり方も変わってしまう飼い主様もいらっしゃいます。
この問題点を払拭できるのが義眼手術を行う最大のメリットです。
義眼手術では外見の変化を最小限に眼球を摘出することで、愛犬との飼い主様の関係も良好に維持することが可能となります。
義眼手術のリスク
義眼手術は外見を維持しながら眼球を摘出することができる優れた手術です。
しかし義眼手術には
- ドライアイ
- 感染症
- シリコンボールの破損
を引き起こすリスクがあります。
ここからは上記のそれぞれについて解説します。
ドライアイ
義眼手術では眼球の外側の膜を温存します。
その膜の一つである角膜が義眼手術の影響により、乾燥しやすくなりドライアイになることがあります
ドライアイの中には角膜潰瘍という病気を発症することもありますね。
感染症
義眼手術ではシリコンボールという異物を挿入します。
その結果、感染症を発症することがあります。
シリコンボールの破損
まれなことですが、義眼手術では術後に挿入したシリコンボールが破損することがあります。
特に活発な犬で義眼手術が行われた際は注意が必要ですね。
義眼手術を安全に行うため飼い主様ができること
義眼手術の合併症である
- ドライアイ
- 感染症
- シリコンボールの破損
を防ぐことが、義眼手術を安全に行う上で非常に重要です。
ドライアイを防ぐためには人工涙液の点眼を行うことで予防できます。
感染症の予防にも抗生剤の点眼や内服薬の投与が有効です。
獣医師の指導のもと飼い主様が適切に薬を投与していくことが非常に重要です。
また、感染症とシリコンボールの破損を防ぐためには、術後にエリザベスカラーを装着した上で目を清潔に保つことも重要です。
いずれにしても飼い主様の献身的なサポートが、義眼手術を成功に導くことに役立ちますね。

まとめ
義眼手術は、手術を行うとすべてが解決するというわけではありません。
正しい知識を持ち、術後に献身的なサポートをできるような環境を作ることが重要です。
もし愛犬に義眼手術が必要になったら、動物病院の獣医師とよく相談してから手術に臨みましょう。
当院では眼科診療に力を入れています。
愛犬の義眼手術で不安なことがありましたらいつでも当院にご相談ください。
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