犬の緑内障治療で欠かせない点眼のやり方とコツを獣医師が解説

上を見上げる茶色い犬

「緑内障で点眼が必要と言われたけど、いつまで続ければいいの?」
「目薬を嫌がってうまくさしてあげられない」

このような疑問や悩みをお持ちの飼い主様も多いのではないでしょうか?
犬の緑内障は眼圧が上昇することで視神経が障害され、視力が失われることもある病気です。
一度失われた視力はもとに戻らないため、早期に眼圧をコントロールすることが重要です。
緑内障の点眼治療は、眼圧を速やかに下げ、視神経への影響を最小限にして視力を温存するために欠かせません。

今回の記事では、犬が緑内障になったときに行う点眼治療について解説します。
正しいやり方についても紹介するので、自宅で点眼治療を行っている飼い主様はぜひ参考にしてください。

目次

緑内障の点眼治療の目的

犬の緑内障治療における点眼の目的は、眼圧をできるだけ早く低下させて視神経へのダメージを抑えることです。
眼圧が高い状態が続くと、視神経や網膜への血流が阻害され失明の原因になります。
また、血流が妨げられた状態が長時間続くと、視神経が萎縮し血管が消失するため眼圧が正常になっても血流は回復しません。
そのため、点眼薬で眼圧を速やかにコントロールし、視神経への影響を少なくすることが、点眼治療の大きな目標と言えます。

点眼薬が眼圧を下げる仕組み

点眼薬が眼圧を下げる仕組みは大きく2つあります。
1つは眼球内を満たす房水の産生を抑える方法、もう1つは房水の排出を促す方法です。

目の中は房水と呼ばれる透明な液体で満たされており、この液体の産生量と排出量のバランスが崩れて過剰に溜まることで眼圧が上昇します。
点眼薬はこのバランスを調整することで眼圧を低下させる薬です。

正しい点眼のやり方

緑内障の治療では点眼治療が欠かせませんが、犬が嫌がってうまくさせないといった問題がよく起こります。
ここでは、犬と飼い主様が毎日の点眼を負担に感じず、目薬の効果を最大限に得るために、正しい点眼の方法について解説します。

正しい点眼の手順

正しい点眼を行うためには、まず犬を後ろや横から包み込むようにして、頭を優しく固定します。
正面から向き合うと犬は圧迫感を感じて嫌がるため注意しましょう。
そして、犬の顎の下を持ち、ゆっくりと頭を上に向かせ、点眼薬を目に一滴垂らします。

また、点眼薬の容器の先端が犬の目や毛に触れないようにすることも大切です。
これは、容器内に細菌が入るのを防ぐためです。
点眼薬をさしたら、指で軽くまぶたを閉じ、目薬を目に浸透させます。
もし2種類以上の点眼が必要な場合は、少なくとも5分以上の間隔を開けましょう。

撫でられる茶色い雑種犬

点眼を無理なく続けるためのコツ

犬の緑内障治療は、多くの場合で長期間継続する必要があるため、犬と飼い主様が無理なく続けられることが非常に重要です。
犬の多くは点眼を嫌がります。
ここでは、点眼を無理なく続けるためのコツを紹介します。

点眼を良いことの前触れだと印象づける

犬が点眼治療を嫌がらないようにするためには、点眼が犬にとって良いことの前触れだということを印象づけることが重要です。
例えば、点眼が終わった直後に必ず大好きなおやつやご飯をあげたり、大げさに褒めてあげたりすることが効果的です。
これを繰り返すことで、犬は点眼が嫌なことではなく、良いことが起こる前触れとして覚えます。

点眼を生活のルーティンに組み込む

犬は生活リズムを覚えているため、点眼を生活のルーティンに組み込むことも有効だと考えられます。
点眼を普段の散歩や食事のように毎日同じ時間帯に行うことで、犬は点眼を日常の流れとして覚え、落ち着いた状態で受け入れやすいです。
また、点眼をする時間帯を決めておくことは、飼い主様も点眼を忘れにくくなるというメリットもあります。
しかし、犬が点眼を嫌なことだと感じている場合は、隠れたりしてしまう可能性がある点には注意が必要です。

犬がリラックスできる環境で点眼を行う

自宅で点眼治療を行う際には、犬がリラックスした状態で行うことも大切です。
犬が興奮して暴れてしまう状態では、目薬がうまく目に入れられないばかりか、無理に抑えようとして眼圧が余計に上昇してしまう可能性があります。
特に首元を抑えると眼圧が上昇しやすいため注意が必要です。

犬が点眼前にリラックスできるように、点眼は静かな場所で行い、優しく撫でてあげましょう。
正面から向き合わず、後や横から優しく包み込むように体を抑えるのも有効です。
もし、一緒に協力して点眼ができるご家族がいれば、一人が抱っこしてもう一人が点眼するなど、役割分担をすることも検討してみましょう。
しかし、どうしても犬が暴れてしまう場合には無理に点眼は行わずに獣医師に相談しましょう。

目を大きくしているパグ

まとめ

犬の緑内障の点眼治療は眼圧を低下させ、視神経へのダメージを減らすために欠かせません。
一方で、点眼治療は長期間継続する必要があり、犬と飼い主様にとって大きな負担になりやすいです。
そのため、正しい方法で点眼を行い犬と飼い主様が無理なく継続して治療ができるような工夫が必要になります。
緑内障の点眼治療を行っている飼い主様は、今回ご紹介した方法やコツをぜひ参考にしてください。

また、当院では緑内障の治療も行っておりますので、自宅での点眼がうまくできずにお悩みの飼い主様は、当院までお気軽にご相談ください。

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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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