犬の健康診断などで肝臓に問題があると言われた経験はありませんか?
中には肝葉切除を提案された犬の飼い主様もいらっしゃると思います。
「肝葉切除って一体どんな手術なの?」
「どんな時に肝葉切除が必要なの?」
今回はこんな疑問にお答えします。
ぜひ最後までお読みいただき、肝葉切除についての理解を深めていただければ幸いです。
犬の肝臓について
肝臓は犬の体の中で1番大きな臓器です。
犬の肝臓は6つの葉に分かれていて、それぞれの葉のことを肝葉といいます。
肝臓は多くの物質の代謝や解毒を行う重要な役割を持っています。
肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれていて、肝臓が病気になってもすぐには症状に現れません。
肝臓の病気は、病態が進行してから血液検査などで発覚することが多いです。
肝葉切除ってどんな時にするの?
犬で肝葉切除が必要になるのは
- 肝臓腫瘍
- 肝膿瘍
- 外傷
などです。
それぞれについて解説します。
肝臓腫瘍
肝臓腫瘍には原発性と転移性があります。
肝臓自体に腫瘍が発生したものを原発性肝臓腫瘍といい、肝臓以外にできた腫瘍が肝臓に転移したものが転移性肝臓腫瘍です。
肝葉切除の適応となるのは原発性肝臓腫瘍です。
原発性肝臓腫瘍の場合、6つの肝葉のうち4葉以上が残せる状態であれば肝葉切除の適応になると言われています。
全ての肝葉に腫瘍がある場合や、転移性肝臓腫瘍の場合は手術の適応にはなりません。
近年は犬の長寿化に伴って、肝臓腫瘍での肝葉切除が多くなっています。
肝膿瘍
肝膿瘍は肝臓に膿が溜まる病気で、犬では稀にみられるものです。
放置すると敗血症や腹膜炎を引き起こし、命の危機に陥ることもあります。
肝葉切除で膿が溜まった膿胞を摘出します。
膿瘍が広範囲に多発している場合は手術の適応になりません。
外傷
事故などで外傷を負い、肝臓が破裂してしまったり裂けてしまうことがあります。
このような場合に肝臓からの出血を止めたり、残りの肝臓の保護をする目的で肝葉切除を行うことがあります。
肝葉切除せずに悪化するとどうなるか
ここからは犬で肝葉切除の手術が必要な場合に、手術をしないとどのような状態になりうるのかを解説していきましょう。
肝臓腫瘍の場合手術をせずに放っておくと、どんどん腫瘍が大きくなる可能性があります。
肝臓の腫瘍が大きくなると温存できる肝臓の範囲が狭くなってしまうため、手術自体が困難になります。
原発性肝臓腫瘍の場合は初期では無症状であっても進行すると様々な症状がみられるようになります。
原発性肝臓腫瘍が進行するとみられる症状は
- 元気食欲の低下
- 体重減少
- 嘔吐
- 下痢
- 発作
- お腹が膨れる
- 腹腔内出血
などです。
特に腹腔内出血が起こってしまうと命の危険があります。
肝臓腫瘍は高齢でかかる病気だからこそ、少しでも負担が軽くなるように手術適期を逃さないことが重要です。
肝膿瘍では治療をせず放置すると、膿瘍が全身に広がる可能性があります。
その結果敗血症や細菌性ショックを起こして命の危機に陥るかもしれません。
事故の外傷で肝臓破裂などがある場合は、すぐに手術を行わないと出血性ショックや腹膜炎による命の危険があります。
犬の肝葉切除ではどんな時にリスクが高くなるのか
肝葉切除とは肝臓にある病変を取り除くために肝葉を切除することです。
肝葉切除で1番気をつけなければならないのは出血のリスクです。
なぜなら肝臓には太い血管がいくつも通っていて、その血管を少しでも傷つけると大出血して死に至る可能性があるからですね。
つまり肝葉切除でリスクが高くなるのは血管の近くの肝葉を切除しなければならない時です。
肝臓の左側の病変は太い血管からの距離が遠いため比較的安全に切除できるといわれています。
逆に肝臓の右側の病変は太い血管からの距離が短いため、出血のリスクが高いです。
また肝臓の中央部分は血管の走行が煩雑で出血リスクが高いです。
肝臓の中央部分には胆嚢という臓器があり、肝葉切除の時に同時に摘出しなければならない場合があります。
このことからも肝臓の中央部分の肝葉切除はリスクが高いといえますね。
このように肝葉切除では肝臓のどの部分に病変があるのかによって手術の難易度が変わります。
同じ理由で肝葉の辺縁にある病変も比較的安全に切除できます。
逆に肝葉の基部にある病変の切除は難易度が高いです。
まとめ
いかがでしたか?
肝葉切除がどのような手術かおわかりいただけたでしょうか。
肝葉切除が必要になる病気は早期発見が治療の鍵です。
また、病態にもよりますができるだけ早期の手術が望ましいでしょう。
当院は外科手術に力を入れており、肝葉切除の手術も可能です。
「犬の肝臓の健康が気になる。」
「肝葉切除の手術を検討している。」
こんな時はぜひ当院にご相談ください。
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