猫の子宮蓄膿症の手術とは?費用や手術後の管理、合併症について獣医師が解説

顎を撫でられる三毛猫

「猫の子宮蓄膿症の手術のリスクが心配」
「猫の子宮蓄膿症の手術後はどのようなケアが必要なの?」
愛猫が子宮蓄膿症と診断され、手術が必要と言われた飼い主様の中にはこのような不安や疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

子宮蓄膿症の治療は、卵巣と子宮を摘出する外科手術が第一選択です。
子宮蓄膿症の手術は、通常の避妊手術と方法に大きな違いはありませんが、手術に伴うリスクや手術後に必要な管理は大きく異なります。

今回の記事では、

  • 猫の子宮蓄膿症の手術の流れや費用
  • 手術後の管理
  • 合併症のリスク
  • 子宮蓄膿症の予防策

について解説します。

未避妊の猫を飼っている飼い主様や、飼っている猫が子宮蓄膿症と診断を受けた飼い主様は、ぜひ参考にしてください。

木の板の上で寝ている茶トラ猫
目次

猫の子宮蓄膿症とは

猫の子宮蓄膿症は、避妊手術を受けていない雌猫の子宮に細菌が感染し、大量の膿が溜まる病気です。
発見や治療が遅れると命に関わる病気です。

発症には、発情後の排卵時に分泌が増える黄体ホルモンが関与しています。
黄体ホルモンは子宮内の免疫機能を低下させる働きがあり、通常なら排除されるはずの細菌が子宮内で増殖しやすくなります。
そのため、猫の子宮蓄膿症は発情後の数週間〜数ヶ月以内に症状が現れることが多く、この時期は特に注意が必要です。
子宮蓄膿症は、放置すると子宮破裂や多臓器不全などの致命的な状態を引き起こすため、疑わしい症状があれば、すぐに病院を受診するようにしましょう。

横を見ている目が青い猫

猫の子宮蓄膿症の手術とは

子宮蓄膿症の治療の第一選択は、全身麻酔での卵巣・子宮摘出手術です。
子宮蓄膿症の手術は、卵巣と子宮をまとめて摘出することで、感染源を完全に取り除く方法です。

手術の方法は通常の避妊手術と大きな違いはありません。
しかし、手術は細菌感染があり全身状態が悪化したなかで行うため、麻酔や合併症のリスクが健康時よりも高くなります。
また、大量の膿が貯留した子宮はもろく、わずかな衝撃で破れる危険があります。
そのため、高度な技術と慎重な操作が求められる手術です。

猫の子宮蓄膿症の手術までの流れ

猫が子宮蓄膿症と診断され、手術が必要となったときは、まず全身状態や子宮の肥大の程度を評価し、手術に向けた準備を行います。
その際は血液検査や腹部超音波検査などが行われます。

診断後はすぐに手術を行うことが理想です。
しかし、重度の脱水やショック状態などにある場合は、そのまま麻酔をかけることはできません。
そのため、手術前に点滴治療や抗生剤の投与などの処置を先に行い、できる限り全身麻酔が可能な状態になるような処置が必要です。

猫の子宮蓄膿症の手術にかかる費用

猫の子宮蓄膿症の手術にかかる費用は、手術前の処置内容や入院期間などによって異なります。
通常の避妊手術と比べると、手術前の緊急処置や手術後の集中管理が必要なぶん、高額になることが一般的です。
また、症状が重篤なほど手術前後の処置内容が増えるため、発見が遅れるほど費用が高額になる傾向があります。
具体的な費用については、手術前に病院に確認することが大切です。

猫の子宮蓄膿症の手術後の管理

猫の子宮蓄膿症の手術後は、入院による集中管理が必要になります。
手術後も全身に広がった細菌や毒素の影響が続く場合があるため、注意深い経過観察が必要です。
血液検査や体温測定が定期的に行われ、合併症の兆候がないかがモニタリングされます。
また、点滴や抗生剤の投与で脱水の補正や、細菌感染への対処も継続されます。
食欲がない場合などは必要に応じて点滴による栄養補給が必要です。

食事は状態を見ながら段階的に再開し、自力での食事が可能になって食欲も安定した頃に退院となるのが一般的です。
入院期間は、猫によって異なり数日から数週間にわたることもあります。

退院後のケア

退院後は抜糸が完了するまでは安静を保ち、激しい運動は控える必要があります。
傷口の保護のためにエリザベスカラーや術後服を着用し、傷口の状態は日々確認することも大切です。
もし傷口に赤みや腫れなどの異常があれば、すぐに病院を受診する必要があります。
その他にも、食欲や元気の回復具合を観察し、気になる変化があれば病院に相談することが大切です。

猫の子宮蓄膿症の手術における合併症

猫の子宮蓄膿症の手術では、命に関わる合併症が発生する場合があります。
主な合併症には以下のものが挙げられます。

  • 敗血症
  • 腹膜炎
  • 多臓器不全
  • 血栓症

敗血症は、子宮内の細菌感染が引き金となり、全身に強い炎症反応が起こり、臓器に障害が生じる状態です。
重症化することで多臓器不全に至る場合もあります。
腹膜炎は子宮破裂などによって、子宮内に貯留した膿が腹腔内に漏れ出すことで発生します。
腹腔内に膿が漏れることで短時間でショック状態に陥り、命に関わることが多いため注意が必要な合併症です。
これらの合併症は複合的に起こることもあり、早期の手術と適切な術後管理が、猫の回復のためには重要になります。

顎の下を撫でられる三毛猫

猫の子宮蓄膿症の予防策

猫の子宮蓄膿症による緊急手術を避けるために最も有効な方法は、若齢のうちに避妊手術を受けさせることです。
生後6ヶ月〜1歳を目安に避妊手術を行うことで、子宮蓄膿症を予防することが可能と考えられます。
また、未避妊の猫を飼っている場合は、定期的に腹部超音波検査を含む健康診断を受けることが早期発見に効果的です。

未避妊の猫で、お腹の張りや元気・食欲の低下といった気になる症状があるときは、早めに病院を受診することをおすすめします。

まとめ

猫の子宮蓄膿症の手術は健康時の避妊手術よりも麻酔や合併症のリスクが高い手術です。
手術後も集中的な管理が必要であり、回復に時間を要する場合もあります。
しかし、早期に発見して手術を受けることで回復できる可能性も十分にあります。
愛猫に気になる症状が見られる場合は、迷わず病院を受診してください。

当院では子宮蓄膿症の緊急手術や避妊手術にも対応しております。
避妊手術や気になる症状についてもお気軽にご相談ください。

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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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