猫の体のしこり｜皮膚肥満細胞腫かも？皮膚肥満細胞腫について獣医師が解説

猫の体に小さなしこりを見つけたことはありませんか？
「これはなんだろう？」と不安に思われるかもしれません。
もしかすると、そのしこりは皮膚肥満細胞腫という腫瘍の可能性があります。

今回は、猫の皮膚肥満細胞腫について詳しくお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、猫の皮膚肥満細胞腫の理解を深め、いざという時に役立てていただければ幸いです。

肥満細胞と肥満細胞腫

肥満細胞や肥満細胞腫という言葉はあまり聞き慣れないと思います。
まずは、それぞれの言葉の意味を知ってみましょう。

肥満細胞って何？

肥満細胞とは、体の免疫に関わる仕事をする細胞です。全身の皮膚や粘膜に分布しています。
肥満細胞はアレルギー物質に触れた時に、体を防御したり、アレルギー反応を起こす役割があります。
アレルギー反応が起こると、肥満細胞の中の成分が放出され、腫れやだるさ、消化器症状などが症状として体に現れます。

肥満細胞腫って何？

肥満細胞腫とは肥満細胞が異常に増えることでできる腫瘍のことです。
アレルギー反応を起こすことが肥満細胞の役割なので、肥満細胞腫を持っているとアレルギー反応が起きる確率が高くなります。
肥満だから肥満細胞が増殖しやすい、腫瘍になりやすいということはありません。
どの猫も同じように病気になってしまう可能性があります。

皮膚肥満細胞腫の症状

どのようなポイントを気にすることで愛猫の皮膚肥満細胞腫の早期発見ができるのでしょうか。
腫瘍の見た目はもちろんのこと、起こりうる症状をお伝えします。

皮膚肥満細胞腫の見た目

肥満細胞腫の特徴は小さなしこりや膨らみです。
肥満細胞腫の大きさは数mmから数cmとさまざまで、皮膚と同じ色のこともあれば赤みがあることもあります。グジュグジュと潰瘍になることもあります。

皮膚肥満細胞腫が発生する部位

肥満細胞腫は頭と首周りにみられることが多いです。
肥満細胞自体は皮膚や粘膜に存在していますので、どの部位でも発生する可能性はあります。

皮膚肥満細胞腫が引き起こす症状

肥満細胞腫はしこりができているだけで何も症状が現れないこともあります。
腫瘍の中の成分が悪さをすると、アレルギー反応として次の症状が見られます。

腫瘍のまわりが赤くなったり、浮腫を起こす
口をぺちゃぺちゃしたり気持ち悪さを感じる
吐いてしまう
下痢をしてしまう
元気がなくなる

これらの症状がみられる時にはアレルギーに対する治療が必要です。
速やかに動物病院を受診しましょう。

皮膚肥満細胞腫とアナフィラキシーショック

アレルギー症状が重症化したものをアナフィラキシーショックといいます。アナフィラキシーショックは時に命を落としてしまう怖いものです。
肥満細胞腫があるということは、アナフィラキシーショックになってしまうリスクを常にかかえているということになります。
そのリスクをいち早く取り除くためにも、早めに治療ができるといいですね。

皮膚肥満細胞腫の治療方法

皮膚肥満細胞腫の治療の第一選択は手術で取り除くことになります。

皮膚肥満細胞腫の手術について

皮膚肥満細胞腫の多くは手術によって完治が望めます。
皮膚肥満細胞腫の手術は、腫瘍だけでなく腫瘍の周りを広めに切り取ります。
腫瘍の周りにも腫瘍細胞が広がっていると考えるためです。そのため、想像よりも傷口が大きくなってしまうかもしれません。
多くの場合は、難しい手術ではなく、数日で退院することができます。
しかし中には、脚の難しい部分にできた場合、断脚が必要になることもあります。

断脚と聞くと身構えてしまうかもしれません。はじめは大変かもしれませんが、多くの子が以前と大きく変わりなく生活することができます。一緒に元の生活を取り戻せるようにがんばりましょう。