犬の断指手術について|手術の必要性とメリット・デメリットを獣医師が解説

握手している犬と人

犬の断指手術について|手術の必要性とメリット・デメリットを獣医師が解説

断指とは、犬の指を手術により摘出することを指します。
断指が必要な状況はさまざまですが、

「しっかり歩けるの?」
「手術後どれくらいで元の生活に戻れるの?」
「なんで指を取らないといけないの?」

など色々な疑問が出てくると思います。

今回はそんな犬の断指について解説していきます。
ぜひ最後まで読んでいただき、疑問が解決できればと思います。

目次

断指が必要なケース

断指の必要性が最も高いケースは腫瘍です。
指にできた小さな腫瘍であれば、指の切断で治療が可能な場合があります。
近くのリンパ節へ転移したり、大きくなった腫瘍は指の切断のみでは治療できず、前足や後ろ足そのものを切除する必要があります。
そのため、手術の決断はなるべく早い方が良いでしょう。
その他にも

  • 慢性の皮膚炎
  • 骨髄炎
  • 重度の外傷

などにより実施される場合があります。

断指手術のメリット・デメリット

断指をするメリットは、指に起こっているトラブルを無くすことができることです。
痛みや不快感、腫瘍の転移や広がりからの解放が最大のメリットと言えるでしょう。
デメリットは麻酔が必要であることと、切除した指は戻らないということです。
これらを比べ、手術をする価値があるのかを検討します。

断指手術の合併症

断指の合併症には、

  • 感染
  • 出血
  • 裂開
  • 腫瘍の再発

があります。
指には体重の負荷がかかり、このような合併症が起こりやすいと言われています。
犬の指は狼爪(ろうそう)という内側の指から順に5本あります。
後ろ足には狼爪はありません。
中でも第3、4指はかなりの負荷を負っています。
指を2本以上切除した場合や、第3、4指を切除した場合は、歩き方に影響が出ることが多いと言われています。

犬の指の説明

術後に家で気をつけること

無事退院できても、すぐにいつも通りの生活ができるわけではありません。
ここでは断指手術後、家で気をつけることについて解説します。

エリザベスカラー

犬は傷があると舐めて治そうとします。
しかし、舐めてしまうと細菌感染を起こすため、術後は傷を舐めないようにエリザベスカラーが必要です。
人目が無い時間は必ずエリザベスカラーを装着しましょう。

包帯

出血や漿液がある場合は包帯を巻くことがあります。
包帯を巻く場合は、感染がないかこまめな確認が必要です。
必要に応じて包帯を巻き替えましょう。
患部が臭う、いつもの漿液の色と違う場合はすぐに動物病院に相談しましょう。
また、包帯をキツくまいてしまうと血の流れが悪くなるため注意が必要です。

散歩

散歩などの運動も主治医の指示に従いましょう。
歩くことにより体重負荷がかかり、傷口が開くリスクがあります。

抜糸後

抜糸は傷の状態にもよりますが、術後7〜14日で行います。
抜糸が終わると、運動も徐々に再開できますが、過剰な運動は避けましょう。

足に包帯を巻いているゴールデンレトリーバー

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は犬の断指について解説しました。
実際に愛犬の断指手術を実施するか、迷っている方もいらっしゃるかと思います。

当院は外科手術に力を入れている動物病院です。
手術について不安に思われることがあれば、お気軽にご質問ください。
一緒に最適な治療方法を考えましょう。

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診察時間
9:00〜11:30
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休診日:水曜日
注)水曜日が祝日の場合も休診となります
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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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