「犬が急に元気がなくなってぐったりしている」
「お腹を触ると痛がるようになった」
「嘔吐や食欲不振が続いている」
愛犬にこのような症状が見られると、とても心配になりますよね。
これらの症状の背景には、消化管穿孔という緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。
犬の消化管穿孔は胃や腸に穴が開き、内容物が腹腔内に漏れ出してしまう非常に危険な状態です。
放置すると命に関わることもあるため、早期の診断と治療が重要になります。
今回は犬の消化管穿孔について、
- 病気のメカニズム
- 原因
- 症状
- 診断
- 治療
- 自宅での注意点
をわかりやすく解説します。
繰り返す嘔吐や食欲不振など愛犬の体調に異変を感じた際の参考にしていただければ幸いです。
犬の消化管穿孔について
犬の消化管穿孔とは、胃や小腸・大腸といった消化管に穴が開いてしまう状態を指します。
通常、消化管の中には、
- 食べ物
- 消化液
- 細菌
などが存在しています。
これらは本来体の外と同じ扱いであり、腹腔内に漏れ出ることはありません。
しかし消化管に穴が開くと、これらの内容物が腹腔内に流れ出し、腹膜炎と呼ばれる強い炎症を引き起こします。
腹膜炎が進行すると、
- 全身の炎症反応
- 敗血症
- ショック状態
などに発展することがあり、非常に危険です。
そのため、消化管穿孔は緊急対応が必要な外科疾患のひとつです。
犬の消化管穿孔の原因
犬の消化管穿孔はさまざまな原因で起こります。
主な原因を解説します。
異物誤食
犬の消化管穿孔の最も多い原因のひとつが異物誤食です。
- おもちゃ
- 布
- 骨
- 串
などを飲み込むことで、消化管を傷つけて穴が開くことがあります。
とくに骨や串など尖った異物は穿孔のリスクが高く注意が必要です。
消化管腫瘍
消化管の腫瘍が進行すると消化管の壁が弱くなり、壊死して穴が開くことがあります。
とくにリンパ腫や腺癌では、腫瘍の進行に伴い層構造が破綻しやすくなります。
慢性的な体重減少や食欲低下などの症状が先に見られることが多い点も特徴です。
消化管潰瘍
ステロイドやNSAIDsといった薬剤や基礎疾患などにより潰瘍が形成され、深く進行すると消化管穿孔に至ることがあります。
食欲の低下や黒色の便など消化管潰瘍の症状が出ている場合はとくに注意が必要です。
外傷
交通事故や高所からの落下などの強い衝撃によって、消化管が損傷し穿孔することがあります。
受傷直後は症状が軽く見えても、数時間〜数日後に消化管穿孔の症状が目立ってくるケースも少なくありません。
血流障害
腸閉塞や腸捻転などにより腸への血流が遮断されると、腸が壊死して穿孔が起こることがあります。

犬の消化管穿孔の症状
消化管穿孔では急激に犬の全身状態が悪化することが多く、以下のような症状が見られます。
- 元気消失
- 食欲不振
- 嘔吐
- 腹部痛
- 呼吸促迫
また、消化管穿孔による腹膜炎が進行すると、
- 粘膜が白くなる
- 脈が弱くなる
- 意識がもうろうとする
といったショック症状が見られることもあります。
これらの症状は急速に悪化するため、早急な対応が必要です。
犬の消化管穿孔の診断
犬の消化管穿孔は命に関わる緊急疾患であるため、迅速かつ正確な診断が非常に重要です。
症状や身体検査に加えて、複数の検査を組み合わせて総合的に判断されます。
犬の消化管穿孔が疑われるときに行われる主な検査は以下の通りです。
- 身体検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
- 腹水検査
- CT検査
消化管穿孔の診断には、レントゲン検査はとくに重要な検査です。
レントゲン検査でお腹の中に空気が漏れているのが確認された場合、消化管穿孔が強く疑われます。
また腹水が認められる場合は腹水検査が行われ、細菌や消化管内容物の混入が確認された場合は診断の大きな手がかりになります。
犬の消化管穿孔の治療
犬の消化管穿孔の治療は大きく内科治療と外科手術に分けられます。
それぞれについて解説していきます。
内科治療
内科治療の目的は消化管穿孔によって犬の状態が不安定な場合に、全身状態を整えることです。
犬の状態によって以下のような治療が行われます。
- 点滴による循環管理
- 抗生物質の投与
- 鎮痛管理
これらの治療によりショック状態を改善し、手術に臨める状態を目指します。
外科手術
犬の消化管穿孔は、基本的に緊急の外科手術が必要となる疾患です。
外科手術では以下の処置が行われます。
- 穿孔部位の特定
- 損傷した消化管の縫合または切除
- 腹腔内の洗浄
壊死が広範囲に及んでいる場合は、腸の一部を切除し吻合することもあります。
手術後は集中管理が必要となることが多く、数日間の入院が必要です。
犬が消化管穿孔を起こさないために自宅で注意したいポイント
愛犬が消化管穿孔を起こしてしまわないか心配になりますよね。
消化管穿孔は突然起こることも多く、完全に予防することは難しい病気です。
しかし、日常生活での注意によりリスクを下げることはできます。
- 誤食しやすいものを置かない
- おもちゃは壊れにくいものを選ぶ
- ゴミや食べ残しを放置しない
- 異物を飲み込んだ可能性がある場合はすぐ受診する
また、嘔吐や元気消失が続く場合は「様子を見る」のではなく、早めに動物病院を受診することが大切です。

まとめ
犬の消化管穿孔は、消化管に穴が開くことで腹膜炎を引き起こす非常に危険な病気です。
異物の誤食や腫瘍などさまざまな原因で発症し、急激に状態が悪化することがあります。
治療には外科手術が必要になるケースが多く、早期の対応が予後を大きく左右します。
「急にぐったりしている」「お腹を痛がる」といった異変が犬に見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
当院では、犬の消化管穿孔をはじめとする緊急外科疾患にも対応しています。
「誤食してしまったかもしれない」「急に体調が悪くなった」など不安なことがあれば、当院にご相談ください。
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