犬の肛門腺摘出手術について|治りの悪い肛門腺炎や何度も破裂する肛門腺は手術をするべき?
犬の肛門腺の摘出手術は、肛門付近にある肛門嚢という袋状の構造物を摘出する手術を指します。
飼い主様の中には
「犬の肛門から膿っぽい色の臭い液体が出てくることがある」
「愛犬のお尻に穴が空いたことがある」
「肛門腺に炎症があるから、摘出したほうがいいかもと獣医に言われたことがある」
などの経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は肛門腺の摘出手術について、どういう時にする必要があるのか、またその手術で起こり得る合併症について解説していきます。
手術を考えている飼い主様は、ぜひ最後まで読んでいただき手術についてより知っていただければと思います。
肛門腺とは
肛門腺は、肛門周囲に左右一対で存在します。
臭いの強い液体状からペースト状の分泌物を貯めておく袋状の構造物です。
この分泌物は興奮時や排便時に、小さな出口から分泌されます。
肛門腺でよく見られるトラブルは肛門腺炎や肛門破裂です。
肛門腺炎
肛門腺炎は、犬の約10%に発生すると言われている病気です。
主に細菌の感染によって起こります。
袋状の肛門嚢の中で感染が起こると、細菌が繁殖し、炎症が起こります。
細菌感染の原因には
- 慢性の下痢
- 肛門の緩み
- 便秘
- 肥満による肛門周囲の筋肉の機能低下
などがあります。
肛門腺破裂
肛門腺破裂とは、肛門嚢の中に分泌物が過剰に溜まり、排泄できない場合に起こります。
過剰分泌の原因には
- 感染
- ホルモン疾患
- アレルギー疾患
などが挙げられます。
肛門腺破裂は強い痛みが生じます。
元気、食欲の低下やお尻からの出血で異変に気づかれる飼い主様も多いです。
肛門腺の摘出手術はどんな時に考える?
肛門腺の摘出手術は
- 肛門腺炎を繰り返す
- 肛門腺破裂を繰り返す
- 腫瘍を疑う
場合に実施されます。

肛門腺の摘出手術のメリット・デメリット
肛門腺の摘出手術のメリットは、肛門腺炎や肛門腺破裂のリスクがなくなることです。
デメリットは、麻酔が必要であることと、肛門腺が一対で存在するため、症状がない側の肛門腺も摘出する場合があることです。
これは、症状が出ていない側の肛門腺もいずれ症状が出てしまう可能性が高いからです。
肛門腺手術の合併症
肛門付近の手術なので、傷口の感染には特に注意が必要です。
感染のリスクを減らすためにも、傷口を舐めないようにエリザベスカラーを装着しましょう。
また、傷口が汚れていたら清潔なタオルや消毒綿で拭く必要があります。
合併症は他にも
- 便失禁
- 下痢
- 排便困難
- 血便
- 傷口の裂開
などがあります。
特に便失禁は術後の一時的な症状の場合と、永続的な場合があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は肛門腺摘出手術について解説しました。
肛門腺炎の不快感や肛門腺破裂の痛みは、犬の生活の質を大幅に下げてしまいます。
繰り返す肛門腺トラブルは、一度摘出手術を検討してみてください。
「本当に手術が必要なの?」
「手術したほうがいいと言われたけど、他の先生の意見も聞きたい」
「症状のない側をどうすか悩んでいる」
などあれば、当院までご相談ください。
飼い主様と一緒にベストな治療を見つけていきます。

診察時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9:00〜11:30 | ||||||||
17:00〜18:30 |
注)水曜日が祝日の場合も休診となります