犬の唾液腺嚢胞とは|犬の頬が急に腫れてきたら要注意!

笑っている雑種犬

犬の唾液腺嚢胞とは|犬の頬が急に腫れてきたら要注意!

犬の顔や顎下がぷよぷよと腫れている場合、その腫れは「唾液腺嚢胞」という病気である可能性があります。
「唾液腺嚢胞」という病名を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では唾液腺嚢胞の原因や治療についてご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、唾液腺嚢胞について知るきっかけにしてみてください。

目次

唾液腺嚢胞とは

唾液腺嚢胞とは唾液が唾液腺周囲の皮下などのスペースに溜まってしまう病気です。
通常、唾液は唾液腺で分泌されて導管という唾液の通り道を通じて口の中に排出されます。
しかし、唾液腺嚢胞では唾液腺や導管から唾液が漏出して耳の下や顎の下に貯留し、唾液腺が腫れてしまいます。

なぜ唾液腺が腫れてしまうのか

唾液腺嚢胞の原因は以下のものが考えられますが、明確に原因を特定できないことも多いです。

唾液腺の損傷

怪我により唾液腺や導管が損傷すると唾液腺嚢胞になることがあります。
唾液腺が損傷するおもな原因としては、異物が口の中に刺さってしまうことや外部から頭頸部に強い刺激が加わることが挙げられます。
例えば、リードの引っ張りすぎによる頚部の圧迫などに注意が必要です。
また他の犬に噛まれてしまうことで唾液腺が損傷してしまうこともあります。

唾液腺の閉塞

唾液の通り道の閉塞により唾液の流れが妨げられ、唾液腺嚢胞になってしまうこともあります。
唾液腺の閉塞は唾石と呼ばれる結石が原因であることが多いです。
唾石は唾液中の石灰化物質により形成されます。
唾石が唾液腺に詰まることで唾液の経路が破綻し、唾液が周囲の組織に漏出してしまいます。

唾液腺の感染

唾液腺の感染も唾液腺嚢胞の原因です。
感染により唾液腺周囲の組織が脆くなることで唾液が漏出することがあります。
犬では歯周病に関連した細菌が原因になることが多いです。

唾液腺嚢胞の症状

飼い主様がもっとも気づきやすい唾液腺嚢胞の症状は頬や顎の腫れです。
唾液腺嚢胞の犬では頬や顎に柔らかいしこりが触れることが多いです。
その他にも唾液腺嚢胞による痛みや不快感が生じることもあり、それに伴って食欲や元気が低下します。
さらに、しこりが大きくなると出血したり、呼吸状態を悪化させる危険性があります。

唾液腺嚢胞の診断

笑って見上げる犬

唾液腺嚢胞の診断には嚢胞の内容物の検査や画像検査を行います。

嚢胞の穿刺検査

穿刺検査とは嚢胞に針を刺し、吸引する検査です。
嚢胞から採取した内容物を顕微鏡で観察することで感染や腫瘍を除外します。
採取した内容物が粘稠性が高い場合は唾液腺嚢胞である可能性が高いです。

画像検査

レントゲン検査やエコー検査などの画像検査を行うことで嚢胞の周囲に唾石が存在するか、口腔内に異物が混入していないかを判断します。
また、唾液腺嚢胞が周囲の組織にどのくらい広がっているかも確認します。

唾液腺嚢胞の治療

唾液腺嚢胞の治療の第一選択は唾液腺の切除です。
「唾液腺を取ってしまって大丈夫なの?」
と疑問に思われる方もいると思います。
犬の唾液腺は複数存在しているため一部を切除しても問題ありません。
唾液腺嚢胞の治療では唾液の漏出を起こしている唾液腺や導管を可能な限り切除することで基本的に予後は良好です。
手術に抵抗がある場合は唾液腺嚢胞の内容物を抜くことで一時的に腫れを抑えることも可能です。
しかし、再発することも多く、根本的に唾液腺嚢胞を治すには外科手術が推奨されます。

まとめ

唾液腺嚢胞についてご理解いただけましたか?
唾液腺嚢胞を根治するには手術がもっとも有効な治療法です。
痛みが無さそうだからと唾液腺嚢胞を放置してしまうと周囲の組織に唾液が漏れ続けてしまいます。
定期的に口腔内や口周りのチェックを行うことで早期発見、早期治療を心掛けましょう。
「もしかして唾液腺嚢胞では?」とお心当たりのある方はお早めに当院までご相談ください。

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診察時間
9:00〜11:30
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休診日:水曜日
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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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