猫の眼球摘出の手術|猫の目が治らないと言われたら?

猫がこちらを見つめている

猫の眼球摘出の手術|猫の目が治らないと言われたら?

「猫の目がなかなか治りません」
「猫が目にひどい怪我をしていてどうすればいい?」
猫の飼い主様でこのような不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
猫でなかなか目の疾患が治らない時、眼球摘出を選択することがあります。

今回の記事では猫の眼球摘出による治療についてご紹介します。
猫の目の治療にお悩みの方はぜひお読みいただき、今後の治療の参考にしてみてください。

目次

眼球摘出とは?

眼球摘出は眼球自体を摘出し、周囲の皮膚を縫合する手術です。
「目が無くなっちゃうなんてかわいそう」
このようにネガティブなイメージを抱く人も多いと思います。
しかし、目を摘出することで猫の負担を軽減できる場合もあります。

どんな時に眼球摘出するの?

眼科治療はできるだけ目を温存することが最優先です。
しかし、以下のような時に眼球摘出が推奨されます。

  • 強い痛みがある
  • 感染がコントロールできない
  • 腫瘍ができている

ここでは具体的に眼球摘出を行うことがある目の疾患をみていきましょう。

角膜潰瘍

角膜潰瘍とは目の表面の角膜に傷ができる疾患です。
角膜潰瘍は目薬での治療を行いますが、傷の治療がうまくいかないと痛みが続いたり、感染を起こしやすくなってしまいます。
角膜潰瘍の治療が難航した場合は痛みや感染の原因になってしまっている目を摘出することで猫の負担を取り除くこともあります。

緑内障

緑内障とは眼圧が上昇する目の疾患です。
眼圧が上昇すると強い痛みが生じ、重症化すると元気や食欲が低下します。さらに進行すると視力が失われてしまうことが多いです。

緑内障は基本的には目薬で眼圧を下げる治療を行いますが、痛みをコントロールできない場合には眼球摘出が適応になります。

外傷

外傷によって目が大きなダメージを受けてしまった場合にも眼球摘出が適応になります。
特に外に出る猫ではカラスに目をつつかれたり、高いところから落下したりすることで目に大怪我を負ってしまうことが多いです。
目の傷が深いと視力が失われ、細菌感染の温床になってしまうことが多く、眼球摘出が推奨されます。

目の腫瘍

猫では比較的珍しいですが、目や目の周囲の組織にも腫瘍が発生することがあります。
目のサイズが変化したり、目の中に黒い斑点が出てきたら要注意です。
目や目の周囲に悪性の腫瘍が生じた場合は周囲の組織に広がったり、転移を起こすことがあるため、早期の眼球摘出が推奨されます。

眼球摘出のメリット

舌をぺろっと出している猫

眼球摘出のメリットは術後に目の痛みを取り除くことで生活の質をあげることです。
目には多くの神経が存在するため、目の疾患がコントロールできないと重度の疼痛を伴います。
常に目の痛みが伴うと、元気や食欲も低下し、全身の健康状態が悪化してしまうこともあります。
目の疾患を持つ猫が生活の質を高めるためにも、眼球摘出は有効な方法です。

眼球摘出後の生活は?

眼球摘出を行っても著しく行動が制限されるわけではありません。
そもそも、眼球摘出に踏み切る際はその時点で視力が失われていたり、視力が著しく低下しているため、眼球摘出の前後で視覚に差が生じないことが多いです。

また、猫は人間ほど日常生活が視覚に依存していないため、嗅覚や聴覚などを頼りにフードやものの場所を把握することができます。

まとめ

いかがでしょうか。
眼球摘出はかわいそうなイメージが先行しますが、眼球摘出をすることによるメリットもあります。
目の痛みや感染などで猫の生活の質が低下している場合は眼球摘出という選択肢も考えてみてください。
当院では眼科治療を積極的に行っております。
眼球摘出を検討されている方はぜひ当院までお越しください。

お問い合わせはこちら 0265-76-8625
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診察時間
9:00〜11:30
17:00〜18:30
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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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