猫の耳の腫瘍の手術を解説|猫の耳に発生するしこりに注意!

上目遣いの猫

猫の耳の腫瘍の手術を解説|猫の耳に発生するしこりに注意!

お家の猫の耳を観察したことはありますか?
猫は耳を見せてくれないことが多く、耳のトラブルは見落とされがちです。
しかし、猫の耳には腫瘍ができることがあり、定期的に耳をチェックする必要があります。

今回の記事では
「猫の耳にはどんな腫瘍ができるのか」
「もし猫の耳の腫瘍を発見したらどうすればいいのか」
について解説していきます。

猫を飼っている方は最後までお読みいただき、猫の耳の病気について知るきっかけにしてみてください。

目次

猫の耳の腫瘍はなにができる?

上目遣いの猫

猫の耳には良性、悪性を問わずさまざまな種類の腫瘍が生じます。
ここでは猫の耳にできる代表的な腫瘍について解説していきます。

耳介の腫瘍

耳介とは外側に三角に立っている部分です。
猫の耳介の病変は
「耳の表面の傷だと思って放置していたら実は腫瘍だった」
といったこともあるため、注意が必要です。
ここでは特に猫の耳介に好発する扁平上皮癌や肥満細胞腫についてご紹介します。

扁平上皮癌

扁平上皮癌とは皮膚を構成する細胞由来の悪性腫瘍です。
猫では口に発生することが多いですが、耳介に発生することもあります。
扁平上皮癌になると、はじめは耳がただれて皮膚炎のように見えることが多いです。
耳のただれが進行すると病変部から出血したり、場合によっては耳介の一部が潰瘍を形成して欠けてしまうこともあります。

肥満細胞腫

肥満細胞腫とは肥満細胞というアレルギーに関与する細胞の腫瘍です。
猫の肥満細胞腫は基本的に全身に生じる可能性があります。
耳にできる場合は発疹や脱毛がみられ、こちらも皮膚炎のように見えることもあります。

耳道の腫瘍

横を見るグレーの猫

耳道とは耳の穴から鼓膜までの音波の通り道です。
耳の中の腫瘍は見つけにくく厄介ですね。
猫の耳の中にはおもに以下のような腫瘍が生じます。

炎症性ポリープ

炎症性ポリープとは炎症が原因で生じるしこりです。
厳密に言うとポリープは腫瘍ではないですが、猫に多い良性のできものです。
炎症性ポリープは表面が比較的滑らかで根元がくびれています。
炎症性ポリープは腫瘍と同様に時間とともに大きくなります。

耳垢腺腫瘍

耳垢腺腫瘍とは耳垢が分泌される部分から生じる腫瘍です。
耳垢腺腫瘍には良性と悪性があり、どちらも耳道内に小さな隆起上の腫瘤をたくさん形成します。
悪性の場合は周囲の組織に浸潤して耳の奥にまで広がるため注意が必要です。

腫瘍ができると耳の炎症が起きることも

腫瘍やポリープはそれ自体が大きくなったり、出血したりすることに加えて、外耳炎や中耳炎などの炎症の原因になります。
猫の耳の中に腫瘍やポリープができると物理的に耳の穴が狭くなり、耳の炎症が起きやすい環境になってしまいます。
耳の中に腫瘍ができてしまった場合のおもな症状は

  • 耳をかゆがる
  • 頭を振る
  • 耳垢が増加する

などが多いです。
症状が悪化すると耳の奥の神経に影響を及ぼし、ふらつきなどの神経症状が起こることもあります。
外耳炎や中耳炎の症状がコントロールできない場合は、腫瘍やポリープが隠れている可能性があるので注意しましょう。

耳の腫瘍の外科手術

耳が切れているキジトラ白の猫

猫の耳の腫瘍は外科手術による切除によって治療を行います。
耳介の腫瘍では腫瘍を含めた周囲の耳介を切除し、縫合します。
耳介の腫瘍は潰瘍や出血を伴うことが多いため、腫瘍を切除することで猫の生活の質を向上させることが可能です。
耳の中の腫瘍の場合は腫瘍に加えて外耳道という耳の外側から鼓膜までの通り道を全て切除することもあります。
外科手術では腫瘍とその周囲を確認しながら切除を行うことで腫瘍を完全に取りきることを目指します。

術後の合併症

猫の耳の腫瘍の術後の合併症としては耳や顔の周囲の神経の麻痺が多いです。
神経の麻痺の影響で瞬きができなかったり、口をうまく動かせず食べこぼしてしまうなどの症状がみられます。
神経の麻痺は一過性であることが多いですが、生涯残ってしまう可能性もあるので、手術に臨む際は獣医師とよく相談しましょう。

まとめ

猫の耳の腫瘍についてお分かりいただけましたか。
耳の腫瘍は適切に治療することで良好な経過が望めることが多いです
猫の耳の中まで見るのが難しそうであれば、定期的に動物病院でチェックしましょう。

当院では猫の耳の検査や手術を行っております。
今回の記事の内容にお心当たりのある方はぜひ一度、当院にご相談ください。

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診察時間
9:00〜11:30
17:00〜18:30
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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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