犬の股関節脱臼について|犬の股関節脱臼の治療ってどうするの?
犬の股関節脱臼について聞いたことはありますか?
犬の歩き方や姿勢に異常があると、
- これから先ずっと歩けないのではないか
- 犬がひどい痛みを感じているのではないか
- 手術でないと治せないのではないか
など飼い主様にとっては不安が尽きないでしょう。
股関節は骨盤と後肢をつなぐ関節で、犬が歩行するのに非常に重要な役割を果たしています。
そんな股関節が脱臼してしまうと、犬の歩行や姿勢に異常が出ます。
股関節脱臼は、犬のすべての関節の脱臼のうち90%を占めると言われているくらい、身近な疾患です。
今回は、そんな犬の股関節脱臼について特に治療に関して詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、病気に対する理解を深めることで愛犬のピンチに備えましょう。
股関節脱臼ってどんな病気?
股関節脱臼は、何らかの原因により大腿骨が正常な位置から変位してしまった状態です。
股関節は、通常骨盤にある寛骨臼という凹みに大腿骨の端である大腿骨頭がはまっています。
犬の股関節脱臼はほとんどの場合で大腿骨頭が正しい位置より骨盤の頭背側方向にずれてしまいます。
原因は、交通事故や落下事故などの高エネルギー外傷であることが多いです。
他にも生まれつき骨盤の寛骨臼が浅い股関節形成不全という病気がある場合もあります。
好発犬種は柴犬やトイプードルなどで、発症年齢は様々です。
股関節脱臼が起こると、半分以上の症例で他の組織に損傷を起こし、早急に整復しなければ関節がずれたまま固まってきてしまいます。
股関節脱臼と診断されたら早急な治療が必要ということですね。
股関節脱臼を起こした時の症状
股関節脱臼をしてしまうと、犬は歩行や姿勢に変化が出ます。
股関節脱臼は多くの場合片方だけ発症することが多いです。
股関節脱臼には典型的な姿勢があります。
股関節が脱臼した方の足は、膝が外側を向き、足先は体の内側を向きます。
人間で言うと足を組んでいるような姿勢ですね。
股関節脱臼の姿勢では、足が短くなったような状態になるので床に触れなくなります。
発症直後は炎症を伴っていることが多く、痛みや腫れなどの症状が出ることも多いです。
歩行は炎症による痛みや患肢の短縮により、うまく歩くことができなくなります。
ご家族は歩き方で異常に気がついて動物病院へ来られる方が多いです。
このような症状がある場合は、無理に触らずすぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
股関節脱臼の治療
股関節脱臼の治療は大きく分けて2つあります。
手術により整復する観血的整復と、手術ではなく獣医師が皮膚の上から脱臼を元に戻す非観血的整復です。
非観血的整復
非観血的整復は、体にメスを入れることはありませんが、通常軽い麻酔をかけて行います。
脱臼を整復するためには、関節を大きく動かす必要がありますが、筋肉に力が入っていると、関節に外部から大きな力を加えるのは困難です。
全身麻酔は、整復や炎症による痛みを感じさせないだけでなく、筋肉の力を抜くこともできます。
非観血的整復は麻酔時間が短く、外科手術に比べ侵襲性も低いため犬への負担が小さいです。
非観血的整復には、
- 発症からの経過時間が短い場合しか効果がない
- 50%の症例で再脱臼する
- ミニチュアダックスやウェルッシュコーギーなど整復困難な犬種がいる
などのデメリットもあります。
再脱臼のリスクや発症からの経過時間などから適応をしっかり確認してから実施することが重要です。
股関節を正しい位置に戻したら、その後は包帯で2週間程度股関節を固定し、2〜3ヶ月の行動制限を行います。
観血的整復
観血的整復は、手術で脱臼を整復します。
適応は、
- 非観血的整復で再脱臼した
- 股関節形成不全や犬種など再脱臼のリスクが高い
- 脱臼してからの経過時間が長い
などの症例では手術で脱臼を整復します。
観血的整復では、外科手術なので体の負担は非観血的手術と比べて大きくなりますが、再脱臼のリスクは低いです。
股関節脱臼の整復手術には方法がいくつかあります。
股関節再建手術
股関節再建手術では、関節を包む組織である関節包を縫合したり、ピンやスクリューを用いて大腿骨を寛骨臼につなげます。
大腿骨頭切除手術
大腿骨頭切除では、関節にはまる部位である大体骨頭を切断し除去します。
病気などにより何度も麻酔をかけることが難しい場合や股関節再建手術でも再脱臼を繰り返す場合に選択します。
この手術で大体骨頭を切除しても、筋肉や組織による置換が起こり関節のような役割を果たすので術後も歩行は可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は犬の股関節脱臼について、特に治療について詳しく解説しました。
散歩が好きな犬やご家族と遊ぶことが好きな犬では特に、うまく歩けなくなってしまうとご家族にとってはとても悲しいですよね。
犬の股関節脱臼は、整復しても再脱臼も多い疾患です。
発症したら早期に治療を行うこと、治療方法を正確に判断することで犬への負担を減らすことができます。
当院では、整形疾患の外科手術も行うことができます。
愛犬の繰り返す股関節脱臼にお悩みの方や、愛犬の姿勢や歩行に不安のある方はぜひ当院までご相談ください。
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