「犬が目を細めて痛そうにしている」
「目薬を続けているのに黒目の傷がなかなか治らない」
そんな様子を見て、不安になったことはありませんか?
治りにくい犬の目の病気の一つに角膜の病気があります。
角膜は犬の目の表面にある非常に薄くデリケートな組織です。
角膜のわずかな傷や感染が目をこすることで急激に悪化することも珍しくありません。
角膜の傷が深くなると内科治療だけでは治らず、失明や眼球摘出につながることもあります。
そのような重度の角膜疾患に対して行われる外科治療の一つが「結膜フラップ術」です。
今回は犬の結膜フラップ術について、角膜の病気の仕組みから治療、手術後の注意点までをわかりやすく解説します。
愛犬の目に異変を感じた際の参考にしていただければ幸いです。
犬の結膜フラップ術について
犬の黒目は「角膜」と呼ばれる透明な膜で覆われています。
角膜は厚さ約0.5mmほどしかなく、血管を持たないため自己修復力が限られている組織です。
犬の角膜に深い傷や穴が開いてしまった状態になると、点眼薬などの内科治療だけでは回復が追いつかないことがあります。
そのような内科治療では治すのが難しい角膜疾患に対して行われるのが結膜フラップ術です。
結膜フラップ術とは白目の表面にある「結膜」を角膜の傷の上に移動させて縫い付けることで、傷ついた角膜を物理的に覆い保護する手術です。
結膜は血流が豊富な組織のため、結膜フラップ術を行うことで
- 傷の治癒を促進する
- 細菌感染を防ぐ
- 角膜の融解や穿孔の進行を防ぐ
- 全身投与薬の角膜病変部への到達
といった効果が期待できます。
犬の結膜フラップ術が必要になる病気
犬で結膜フラップ術が必要になる病気には、以下のようなものがあります。
重度の角膜潰瘍
犬の角膜潰瘍は角膜に傷ができてしまう病気です。
重度の角膜潰瘍では犬の角膜の深い層まで傷が及び、自然治癒が難しい状態です。
重度の角膜潰瘍を放置すると角膜穿孔へ進行する危険があります。
角膜穿孔
犬の角膜穿孔は角膜に穴が開いてしまう病気です。
角膜穿孔が起きていると眼球内感染のリスクが高くなり、緊急手術が必要になります。
感染を伴う角膜疾患
何かしらの目の病気により犬が目をこすってしまうことで、目の表面に細菌感染を起こすことがあります。
細菌感染などにより犬の角膜が溶けるように傷んでしまう「角膜融解」が起こると、
点眼治療のみでは角膜融解の進行を止められないことが多いです。

犬の角膜トラブルのサイン
犬は目の痛みを我慢しやすいため、見逃されやすいのが特徴です。
知らないうちに愛犬の角膜が病気になっていないか心配ですよね。
以下のようなサインが犬に見られたら注意しましょう。
- 目を開けたがらない
- 目を細めている
- 涙や目やにが急に増えた
- 黒目の中央が盛り上がる、またはへこむ
- 前足でしきりに目をこすろうとする
目の症状が軽度でも犬が目をこすることで急激に症状が悪化してしまうことも多いため、動物病院への早めの受診が重要です。
犬の結膜フラップ術の流れ
犬の結膜フラップ術は全身麻酔下で行われます。
一般的な手術の流れは以下の通りです。
- 角膜病変の範囲と深さを確認
- 角膜周囲の結膜を適切な大きさで切開
- 角膜病変の辺縁部を切除
- 角膜の傷を覆うように結膜を移動
- 糸で結膜を角膜病変部に縫合し固定
犬の角膜を結膜で覆うことで、外部刺激から目を守りながら治癒を促します。
手術後しばらくは犬の視界が遮られますが、眼球を守ることを最優先にした治療です。
手術後の経過と注意点
犬の結膜フラップ術後は点眼治療と安静が必要になります。
犬にエリザベスカラーを装着し、目を擦らないよう管理することが重要です。
自宅では犬に以下のような様子がないか確認しましょう。
- 目の腫れや分泌物が急に増えていないか
- 元気や食欲が落ちていないか
- 強い痛みを示していないか
犬の角膜の状態が安定したら、結膜フラップを部分的または完全に切除することもあります。
犬の結膜フラップの予後
犬の結膜フラップ術は重度の角膜潰瘍や角膜穿孔に対する治療として非常に有効な手術です。
透明な角膜に白い組織である結膜を縫合しているため、角膜に瘢痕組織と呼ばれる傷跡が残ってしまうことがあります。
この瘢痕組織が角膜の中央にある場合、犬の視覚に影響を及ぼすことがあります。
それでも多くの犬は視覚に影響があっても日常生活に適応し、元気に過ごすことが可能です。

まとめ
犬の結膜フラップ術は、重度の角膜潰瘍や角膜穿孔から大切な目を守るための外科手術です。
目の傷は進行が早く、治療のタイミングが結果を大きく左右します。
「愛犬の目の様子がいつもと違う」と感じたら、様子見をせずに早めに動物病院へ相談しましょう。
当院は犬の結膜フラップ術を含めた眼科・外科手術に力を入れています。
「目の手術が必要と言われた」「角膜の傷がなかなか治らない」という飼い主様は、ぜひ一度ご相談ください。
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