猫に膀胱結石ができてしまったらどんな治療をするの?|猫の膀胱結石の手術について解説

トイレの前の猫

猫に膀胱結石ができてしまったらどんな治療をするの?|猫の膀胱結石の手術について解説

自宅の猫に膀胱結石があると言われて、治療に不安がある方はいらっしゃるのではないでしょうか?
膀胱結石は、猫にとって比較的身近な疾患で、動物病院では治療のための手術をよく行います。
そうは言っても、愛猫の手術だと

  • どういう手術なのか
  • 猫にとって負担はないのか
  • 他の治療法はないか

など、不安なことがたくさんありますよね。

今回は猫の膀胱結石について、特に治療としてよく行われる外科手術について詳しく解説いたします。
膀胱結石のある猫を飼っている方はぜひ、最後まで読んでいただき愛猫の病気と治療について詳しく知っておきましょう。

目次

膀胱結石とは

膀胱結石とは、尿石症の中でも尿を溜めておく臓器である膀胱に結石ができてしまう病気です。
膀胱結石は、何らかの原因により尿中のミネラル成分やpHなど尿の性状が変化してしまったときに発生します。
猫の膀胱結石にはいくつか種類がありますが、これからご紹介する2種類の結石で全体の9割を占めています。

シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸カルシウム結石は猫で最も一般的な結石です。
中高齢の雄での発症が多く、鉱物のような硬い結石を作ります。
シュウ酸カルシウム結石は、食事が原因で発生することが多いです。
例えば、

  • ほうれん草や肉類などシュウ酸を多く含む食材
  • 尿を酸性にする作用のある療法食

などが原因で尿の性質が変わってしまいます。
他にも、猫では高カルシウム血症が原因で発症することもあります。

ストラバイト結石

ストラバイト結石は猫で2番目に多く発症する結石で、雌での発症が多いです。
見た目はツルツルして丸みを帯びた形をしています。
ストラバイト結石はマグネシウムを多く含む食事などで発生し、犬で多い尿路感染による発症は猫では少ないです。
また、ストラバイト結石は尿が作られてから時間が経つことで作られ始めます。
そのため、トイレの問題や脱水などで排尿の間隔が長くなってしまうと発生することがあります。

トイレから出てきたオッドアイの白猫

猫に膀胱結石ができた時の症状

猫に膀胱結石ができると、どのような症状が出るのでしょうか。
実は、膀胱結石ができただけでは症状は特に出ないことも多いです。
特に気になる症状がないのに、健康診断で膀胱結石があることを指摘された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
膀胱結石は、その存在だけでは特に症状を出さず、

  • 膀胱結石により膀胱粘膜が傷ついて膀胱炎になったとき
  • 尿道に膀胱結石が詰まって尿道閉塞になったとき

などに症状を出します。

膀胱炎の症状

猫が膀胱炎になると、

  • 血尿
  • 頻尿
  • 排尿時の痛み

などの症状が出ます。
排尿時の痛みは、普段と違うところで排尿するようになったり、排尿時に声を発するようになったりするので、発覚することが多いです。

尿道閉塞の症状

尿道閉塞になると、急性腎障害を発症します。
それにより嘔吐やぐったりするなどのしょうじょうがでることもあります。

膀胱結石の治療法

膀胱結石の治療法は、尿石の種類や膀胱炎の状態によって異なります。
どの治療法でも目的は同じで、「今ある結石を除去して膀胱の炎症をおさめ、再度結石ができないようにすること」です。
膀胱結石の主な治療法には、外科手術と食事療法があります。
今回の記事では、外科手術について詳しく解説します。

トイレの中にいる白黒猫

外科療法

猫の膀胱結石がシュウ酸カルシウム結石である場合や、ストラバイト結石でも膀胱炎を繰り返している場合などに選択されるのが、外科療法です。
シュウ酸カルシウム結石の場合は、食事や薬で溶解することができないので外科手術は第一選択となります。
外科療法では、手術で膀胱を切開し、膀胱と尿道に存在する結石を全て除去します。
外科療法のメリットは、

  • 手術自体の負担は少ない
  • 結石を無くすことができる
  • 結石の正確な種類を特定できる

などがあります。
外科手術のデメリットは、

  • 全身状態が悪く麻酔のリスクが高い場合がある
  • 膀胱の切開部位が離開してしまうことがある
  • 再発する可能性がある

です。
全身麻酔のリスクは、膀胱結石による尿道閉塞で、急性腎障害になっているときに、上がります。
その場合は、まずは尿道閉塞の治療を行い、全身状態が安定してから手術を行います。
膀胱の切開部位は、膀胱炎を繰り返し膀胱粘膜の状態が悪い状態で手術を行うと、粘膜の治りが悪く傷が離開しやすくなります。
外科手術では、今存在する結石を除去することができますが、結石ができやすいような尿の状態が改善されていなければ確実に再発します。
そのため、手術後の管理が非常に重要ということですね。

猫とペットシーツ

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は猫の膀胱結石について、特に外科手術について詳しく解説しました。
愛猫が手術をするというのは、飼い主様にとって不安なものですよね。

当院では飼い主様の不安を解消できるよう、しっかりお話しして外科手術を行っています。
自宅の猫の膀胱や尿の状態に不安がある方、膀胱結石を繰り返している方は、ぜひ当院までご相談ください。

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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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