猫の網膜剥離とは?原因と治療法を獣医師が解説

首を傾げながらこっちをみている茶白猫

「最近、愛猫が家具や壁に何度もぶつかるようになった」
「暗いところで急に動けなくなってしまう」
「瞳孔がいつも開いたままで、目の様子がおかしい」
愛猫にこのような変化が突然現れたら、それは網膜剥離のサインかもしれません。

網膜剥離は、猫の視力を奪う眼科疾患で、特に中高齢の猫では高血圧や腎臓病が原因となることが多い病気です。
今回は、網膜剥離の原因や治療法などについて解説します。
愛猫の目の変化が気になる飼い主様は、ぜひ参考にしてください。

目次

猫の網膜剥離とは

猫の網膜剥離は、目の内側にある網膜が剥がれてしまう緊急性の高い病気です。
網膜はカメラのフィルムのような役割を果たしており、目から入った光を脳へ送っています。
この網膜が、光を正しく捉えられなくなるため、視覚障害や失明を引き起こします。
網膜剥離は進行するほど回復が難しくなるため、早期発見と早期治療が重要です。

猫の網膜剥離の症状

猫の網膜剥離の症状は突然現れることが多いです。
以下のようなサインが現れたら早めに病院を受診しましょう。

  • 家具や壁に何度もぶつかる
  • 暗い場所で動けなくなる
  • 瞳孔が大きく開いたままになっている

猫は視力の低下があっても隠すように行動することがあります。
そのため、発見が遅れることもあるため、「何かおかしいな」と感じることがあれば、早めに病院へ相談することが大切です。

猫の網膜剥離の原因

猫の網膜剥離には、網膜に穴や避け目が生じる裂孔原性と、穴や裂け目が生じない非裂孔原性の2種類があります。
裂孔原性網膜剥離は、目の中の液体が網膜にできた穴から漏れ出ることで、網膜がはがれてしまうものです。

非裂孔原性の網膜剥離は、原因の違いによってさらに、滲出性と牽引性に分けられます。
滲出性網膜剥離は、炎症や出血によって網膜の下に液体が溜まることで引き起こされます。
特に、全身性高血圧による滲出性網膜剥離は高齢の猫で多く見られる原因です。

全身性の高血圧が続くと、目の中の細い血管が傷つき、血管から水分や血液が漏れ出します。
漏れ出した液体が、網膜と網膜の外側にある膜の間に溜まることで網膜が眼球の壁から引き剥がされ、網膜剥離を引き起こします。
猫の全身性高血圧は、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症といった基礎疾患が原因になることが多いため、こうした基礎疾患を持っている猫は特に注意が必要です。

その他にも、滲出性網膜剥離は、

  • 緑内障や腫瘍などの目の病気
  • 感染症
  • 腫瘍

などが原因となって引き起こされることがあります。

牽引性網膜剥離は、目の中の組織が網膜を内側に引っ張ることで引き起こされます。
これは、外傷や目の中で起きた炎症などが原因です。

網膜剥離の原因はさまざまです。
中でも、猫の網膜剥離の原因は、全身性高血圧が最も多いと言われています。
この場合には慢性腎臓病などの基礎疾患が存在する場合もあるため、血液検査や血圧測定などを行い、原因を突き止めることが重要です。

斜め右を見ている猫

猫の網膜剥離の治療

猫の網膜剥離の治療はできるだけ早く開始することが重要です。
発症後24〜48時間以内に治療を始めることが理想とされています。
また、視力を失ってしまっても、適切な治療をすぐに始めることによって、半数近くの猫で視覚の回復が見られたという報告もされています。
そのため、早めに病院を受診することが重要です。

治療の方法は、内科的治療によるものや、専門の二次診療施設で行うことができるレーザー治療や硝子体手術などがあります。

内科的治療

猫の網膜剥離の多くは全身性の高血圧が原因のため、血圧の上昇が認められたら、血圧を下げる治療が重要です。
血圧を下げる薬を服用することで血管が拡張し網膜の下に溜まった液体が吸収されることで、網膜が自然に元の位置に戻ることがあります。

高血圧の治療の他にも、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症といった基礎疾患の治療も並行して行うことが重要です。

外科・専門治療

内科的治療で改善が見られない場合や、網膜に裂け目が生じてしまっている場合などには、専門的な治療が可能な施設での処置が検討されます。
主な処置内容として、レーザー治療と硝子体手術が挙げられます。

レーザー治療は、レーザーを照射して網膜を眼底に固定して剥がれていくのを食い止めたり再接着させる方法です。

硝子体手術は、眼球内の硝子体と呼ばれる液体を一度取り除き、網膜を本来の場所に押し戻す方法になります。

外科手術が必要となるのは、以下のような重症な網膜剥離の場合です。

  • 網膜に広範囲に剥離している場合
  • 硝子体が網膜を引っ張っている場合
  • 硝子体から出血している場合

このような外科・専門治療は実施できる施設も限られています。
また、すぐに治療を行えば視力が回復することもありますが、時間が経ってしまうと手術を行っても回復が難しいこともあります。
そのため、異変に気づいたらできるだけ早く治療を開始することが重要です。
そして治療内容については、獣医師とよく相談し決定していきましょう。

顔を捻って寝ているシャム猫

まとめ

猫の網膜剥離は全身性の高血圧によって引き起こされることの多い病気です。
また、基礎疾患の治療も並行して行う必要がある場合があります。

網膜剥離は失明してしまう可能性のある病気ですが、すぐに治療を行うことで視力が回復する可能性もあります。「突然壁にぶつかるようになった」「瞳孔が開いたままになっている」といったサインが現れたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
愛猫の目の状態にご不安をお持ちの飼い主様は、当院までお気軽にご相談ください。

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診察時間
9:00〜11:30
17:00〜18:30
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監修獣医師

柏原 誠也 獣医師のアバター 柏原 誠也 獣医師 伊那竜東動物病院 院長

2013年に宮崎大学獣医学科を卒業し、勤務獣医師を経て、兵庫県の動物病院グループ 医療センター長補佐・院長を歴任する。
2023年には動物病院京都本院の院長に就任する。
2024年に伊那竜東動物病院の院長に就任し、地域に高度な獣医療を提供している。

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